目を見ながら、遠ざかる

シナモンの実情です。

養育者が精神病圏にいた可能性がある場合、みなさんの周りには、精神病圏やその周辺の状態の方が集まりやすくなります。子供の頃から経験してきたことだから、違和感を感じられません。寛容な態度や多様性の理解とは異なります。そんなみなさんは、養育者と一体化し、精神病圏やその周辺の状態の方に養育者を見出して、子供でいつづけています。

わたしたちは、差別や隔離ではなく、遠ざけることを覚える必要があるのではないでしょうか?例えば、死者の冥福を祈るという追悼は、遠ざける動きです。死者を孤独にしてかわいそうと近づくなら、死者に負担がかかる自己本位の態度であることを理解していく必要があるでしょう。

同様に、精神病圏やその周辺の状態の方からは、遠ざかりましょう。社会的に責任が取れないと判断される状態にあったとしても、より深い意味ではその人の幸福はその人にしか責任をとれないことに起因します。

相手をしっかり見ながら、遠ざかるのです。世界一大好きだと思いながら、遠ざかります。この人からいいものを受け取ったと思いながら、遠ざかります。遠ざかることも、愛です。

近づくことが愛だと思い込んでいるみなさん!近づきながら相手を見ないのは、単に「相手を利用しよう」という思いから来ていることに、気づきましょう。精神病圏やその周辺の状態の方に養育者を見ていた間、あなたは精神病圏やその周辺の状態の方ひとりひとりを、見ていましたか?見ていないから、彼らが養育者本人でないことに、気づけなかったのではありませんか?

初出:2017/05/15【 清 ら か に 】
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