簡易化して言うと、トラウマがいわゆるよく知られたPTSDの症状であるなら、大人になってからのトラウマだと言えます。治癒は、まっすぐな道を歩くようにもたらされるでしょう。ただ、子供時代に受けたトラウマがあるなら、多様な症状を見せ、治癒は、曲がりくねった高低差のある道を歩くようにもたらされ、「発達性トラウマ障害(DTD)」という診断名がつくでしょう。
子供時代に受けたトラウマの中で、見過ごされやすいのは、恐ろしい事故に巻き込まれた後の手当です。手当の現場が、トラウマとなりえます。事故に巻き込まれただけでも苦痛なのに、救急車に乗る際、心理的ケアもない状態で拘束されたまま、移動します。その後、救急治療という名のもと、十分な説明や同意がないまま、本人にとって苦痛や恐怖のある外科手術を受けることは、十分にトラウマとなることが判っています。
例えば、寝つけない苦しさから、夜遊びする子もいます。ストレスに反応するコルチゾールの分泌量が多く、安心して眠るための通称「幸せホルモン」であるオキシトシンの分泌量が少ないので、寝つくことが困難なのです。
本人も奥に隠し過ぎて意識できなくなっている苦しみがある可能性を、知っておいてください。それは、根性ややる気ではどうにもならないと知ってください。
初出:2017年12月29日