感じていれば、忘れない。

原爆が落ちた後も、こんなに空襲が続いていたんですね。

心待ちにしていた「今森光彦 自然と暮らす切り紙の世界展」に、行ってきました。

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今森光彦さんは、木村伊兵衛賞や土門拳賞なども受賞された、大津在住の写真家です。90年代から「里山を大切にしよう」と、わたしたちに呼げかけてくれていました。そんな彼の作品は、写真はもとより、切り絵作品も、愛が詰まっていてすばらしいです。今回の展示では、習作を思わせるソフトクリームのような対象のものから、立体的な昆虫に上のようにカラフルな作品まで、多岐にわたり、見応えたっぷりでした。里山の生態を、切り絵であらわした作品もありました。

街中のポスターが、彼の切り絵になったら、だいぶ人間は和やかになると思います。以前は当たり前にあった生態系とのつながりも、もっと感じやすくなるでしょう。感じていれば、忘れることはありません。

「生態系は保護すればいい」と、発想する方もいるでしょう。でもね、例えば、コアラは絶滅危惧種で保護対象ですが、オーストラリアでは先月700匹以上が、安楽死させられました。「増やし過ぎて、餓死の可能性が出た」から、命が公然と奪われたそうです。保護がコントロールでしかなく、感じていないからこその発想であることに、疑いの余地がありません。

初出:2015年4月19日