刈られた草の匂いは、草に虫がつかないよう防ぐための酵素(その虫を食べる虫を誘う匂い)の匂いだそうです。
ラブラブだった二人が、激しい諍いを経て離婚したり、好きなことだから仕事にしたのに、進むほどに苦しくなるのは、なぜでしょう?
「好き」は、反転します。例えば、「穏やかだから」好きだった相手は、「穏やかだから」嫌いになります。いつも穏やかだったのは、波風立てないよう争いを避けているだけだったと、透けてくるのです。
好きな理由や嫌いな理由を軸として、「好き」は「嫌い」に、「嫌い」は「好き」に、風見鶏のようにくるくる回ります。「好き」「嫌い」はエゴレベルのジャッジにすぎず、頼りになりません。
嫌いな理由の方は、みなさん好んで見つめますが、好きな理由こそ、深々と見つめて下さい。例えば、「穏やかな」人が好きならば、おそらく波風立った家庭環境の中で、穏やかさの価値を知って育っています。そして、波風立つ中で、穏やかさを得られなかった苦しみを、今も抱えています。
この苦しみをきちんと癒す選択が、「好き」「嫌い」の風見鶏に、振り回されなくなる唯一の方法です。好きでたまらないそこにこそ、あなたの深い苦しみがかくれんぼしています。
初出:2016年8月24日