今年も、醬油やみそなど、寒いうちに手作りしました。
今、戦前戦後の日本について、細部から全体を立体的に組み立てていくように、振り返る時間を大切にしています。これは、日本人的なやり方といえるでしょう。日本の家は、本来、建て増し式です。
その一環で、伊丹十三監督の映画「お葬式」(1984年)をみたら、「悲しみに胸が迫り」という表現があって、ハッとしました。「悲しみが胸に迫り」ではなく、悲しみの方に自分から迫るという表現が、30年前の日本にあったんですね。
80年代くらいまでは、かなりの湿気が時代にあったと感じますが、今はそれがなく、だからといって厚みがあるわけではない、スカスカで軽い上滑りの時代です。
映画「お葬式」を見ていると、「お葬式」の位置づけやそこで行われること・為されるべきことも、ずいぶん今と違うことが判ります。簡単にいうと、80年代のお葬式は今よりずっと「お手軽」でなく、区別として非日常をもたらすものとして、存在していました。
初出:2016年10月5日