残り火を大切にするため、豆でも炊こう。

知見を広げたいから、4月から語学の勉強を始めようとする方におすすめです。

茶道で釜の湯の音を「松風」と呼びますが、同じ音が鉄瓶から立つので、家の中で「松風」を聴いています。京都では鉄瓶を使っていませんでしたが、代わりに1か月以上もの間、鶯の声を聴けました。

あの美声には、ずい分気持ちをほぐしてもらい、くすっと笑わせてもらっていました。京都はいたるところに竹林があり、だから京都産の筍も知られていますが、こちらには竹林は少ししかないので、鶯の代わりに「松風」を堪能しています。

先日、日本にコトコト煮込む料理が多かったのは、炭を使っていたからだと知って、ハッとしました。残り火を大切にするため、豆でも炊こうかという発想だったのです。わざわざガスを点ける今とは、ずい分システムが違いました。

コトコト煮込む料理は、芯から温まります。先日、能登に足を運べて、気持ちが芯から温まりました。能登は大都市を中心に捉えれば「時間がゆっくり流れている」や「スローライフ」や「秘境」と位置付けられますが、そもそも大都市中心ですべてを捉える発想が、人工的でおかしいです。

いい顔の人が多いと思ったのです。時間が息を吹き返していると「時間がゆっくり流れている」ように見えたり「スローライフ」に見えるだけでしょう。大都市じゃないからこその違う「政治」があり、それが都市の仕組みでは捉えられないだけで、全てが生き生きしていました。そんなことを思いながら、鶯の代わりに「松風」を堪能しています。

初出:2017年3月20日