アニエス・ヴァルダ監督の「ダゲール街の人々」は、上質な作品でした。
スケジュールが狂ったり、パートナーとの間で意見の相違から話がなかなかまとまらないと、わたしたちは「回り道をした」と解釈したりします。でもよく見ると、それは忘れ物を取りにいけるかけがえのない機会だったり、思いがけない再会に心を熱くできる抜け道のような時間だったりします。
かけ違えたボタンを、壇上で堂々と直せるような、あるべきに戻ろうとする動きを尊重し、あなたという小さなパーツを全体に振りかざす、その抵抗の方をゆるめてみませんか?すると、回り道にみえる状況やそれを後押しするかのようなハプニングは、普段なかなか扉が開かない領域で統合を深めていける、ありがたい慈愛に満ちた時間だったことを、祝福されていたことを、受けとっていけると思います。
回り道が実は近道で、変更を重ねたスケジュールが本来のスケジュールだったのです。それを遠回りと解釈したあなたの方が、器が小さかったのです。
初出:2017年8月17日