方向感覚を失った木々

消せる色芯が出ていたとは、舌を巻きました。

公園の地べたは、人によってかたく踏みしめられていて、時に土俵のように感じるほどです。そうすると、土は雨を含みにくく、木々は夏の間に冬を越すための栄養を蓄えられないだろうとは、想像していました。

本来は、土は放っておけば、どこかから飛んで来たその地域固有の種が芽を出すものでしたが、公園は植樹です。高さに見合わない随分頼りないサイズに切り詰められた根には、痛みを感じてきました。

でも、それが木々から方向感覚を奪い、その結果根は深く縦に伸びず、横にばかり広げるようになるなんて、知りませんでした。それが、その木々が充分な水分と栄養をえられない未来を生んでいるそうです。

上を人間のメタファーとして読むと、どうでしょうか?友人といった横のネットワークばかり広げ、ご先祖様や子孫といった縦のネットワークは無視する人が増えていませんか?その結果、愛情や知恵不足に悩むように、あなた自がなっていませんか?公園の木々のように、あなたも常に不足する感覚に苦しみ、孤独なまま生きていませんか?

初出:2017年10月25日