おいしいと、心は旅しなくなる。

極上品の花椒と表記されているのですが、確かに他のメーカーのものと香りが全く違うので、リピートします。

みなさん、お茶やジュースは好きでしょうか?好きなブレンドを知ったり、絞りたてのフルーツジュースは最高ですし、楽しみがたくさんあります。

ただ、もう一歩踏み込めば、それは「水がまずい」ということなのかもしれません。本当においしい水は、味付けを欲さずに、どんどん水だけで飲めてしまいますし、お料理に使っても調味料をあれこれ必要としないからです。いろいろな味が欲しくなるのは、水・土・空気といった土台がよくないサインと考えると、合点がいく方も多いでしょう。

水の話に絞って表すなら、本当に水がおいしいとそのままで美味しいから「でも、タイ料理で旅気分を味わいたい」のように、心が旅しなくなります。旅しなくても、満足できます。基本的欲求が満たされるから、その上にあれこれ楽しみたいと思わなくなるのです。頭で「あれはこれにいいから」と膨大な知識を必要としなくなります。わたしも薬膳の知識を必要としたのは、水がおいしくない東京にいた時でした。無論その知識は無駄にはなっていませんが、でもそうした「わざわざどこかに探しに行く」ような知識を必要とするなら、結局、水など基礎の部分が悪いのです。

同じことは人にも言えます。飾り立てる工夫を必要としたり、盛ったりするのはそういうことです。例えば、この5年ほど基礎化粧品もメイクも、随分ややこしくなりました。化粧水を塗る前に、化粧水の浸透を良くするものが必要とか、肌つやを良く見せるためにこれを塗ってからファンデーションを塗ると内側から発光してみえるといったテクニックの大盛りになってきました。

そこまで、肌がボロボロということは、内臓が危険な状態にあるから、生活全般を変えなくてはいけませんが、そこには意識が向かないのです。土台を良くしないと、お金ばかりかかるから、余計にお金を崇める狂った方向に進んでしまいます。そして、そうやって表面に留まり、狂いを深める奥には、トラウマがいることがすごく多いのです。

初出:2020年6月11日