皆さんが様々な状態から「回復」しきれないのは、行きと帰りを同じだと思っているからかもしれません。何らかの状態あるいは症状から「回復」する際、登山と下山では通る道が違うことと同様に考えるべきです。
大体、膝が笑うのは下山です。気持ちが焦るのも下山です。登山を山頂に達することと考え、下山をおまけで捉えるほど、怪我をしやすいでしょう。下山もまた大イベントです。
同じように状態や症状が悪くなるときには、息をひそめる感じがあるのに、少し回復して見えてくると気を緩めてしまうのは、回復をおまけとみなしている姿勢ではないでしょうか?
決して「気を引き締めましょう」と言いたいのではありません。回復もまた新しく大きなイベントであるという位置づけのもと、ご自身の状態や症状や回復そのものを捉えていくと、それ自体がまたとない経験となり、皆さんの人間性の豊かさを育む1部になっていくのではないでしょうか?
初出:2020年8月20日