機能性低血糖と記憶力

落語「蒟蒻問答」ご存知ですか?

「記憶力が悪いんです」と、相談されることがあります。そして、ご両親もそうである場合があります。多いのは、ネグレクトによる血糖値の乱れに端を発するケースです。ネグレクト下を生き延びていると、親から子へと伝わるはずの衣食住の基本が、身につかないことが多いからです。

ネグレクトは「親が子供のペースに合わせていない」ことから生まれます。「育児は楽しい」「子供が本当にかわいい」と親が思っていても、十二分にネグレクトは起こります。例えば「ここまで終えてから、子供の面倒をみる」と自分の決め事に律儀でなら、子供が泣いていても、少しだけ放れます。大きな音がトラウマになっていたりすると、赤ちゃんの泣き声を聞いて頭が真っ白になり、子供が泣いていてもフリーズして対応できないことがあります。

そうすると子供は、オムツの不快感が続いたり(介護でもこれは問題)、お腹が空きすぎて飢餓状態に入り、生きるか死ぬかの感覚を経験します。(今回はオムツの話はスルーし、後者についてだけ書きます)

そうすると、子供自身のペースは踏みにじられて、親のペースで「この後出かけるから、今ミルク飲んどいて」と、無理やりお腹いっぱいなのに詰め込まれたり、そうかと思うと飢餓状態なのに「今電車の中だから、ダメ」とミルクがもらえなかったりするジェットコースターを、繰り返し経験することになります。

そうして、血糖値が基準値以下まで下がる機能性低血糖の状態ができあがると、食べた後に具合が悪くなったり、いつもイライラするだけでなく、「記憶力が悪い」と本人が自覚するようになっていきます。そうして、そういう方のお食事は必ず乱れています。ひとりになるとお菓子に手が伸びたり、一日一食だったりする食生活もざらです。これが、血糖値の問題が改善されてくると、何ともいえないさびしさもちゃんと改善されていくんです。

初出:2020年11月12日