うどが並ぶようになり、酢味噌合え天ぷらにきんぴらと、毎日満ち足りています。
既製品の洋服が生まれたのは、ごく最近です。これを読むあなたの年齢にもよりますが、お母さん・お祖母さん世代は「洋服は仕立てるもの」と考えていました。
ファストファッションはもちろん、買って数か月の服を売ったり捨てる発想はありませんでした。わたしは物持ちがよく、20年近く大事に着続けている既製品の服を何着も持っています。仕立てがいいと、変なところに穴が開きません。生地も身体に沿うため、安心感が生まれます。人間が地球資源を搾取しすぎた結果、自然素材の洋服は手に入りづらくなっていますので、一層大切に着ています。
今語られる「おしゃれ」は、自己満足を目的とした、エゴイスティックなものが多く感じます。本来の「おしゃれ」は、長年連れ添ってくれる服であることが、前提だったように思います。本当の「おしゃれ」はエゴを超えたところにあるでしょう。
以前引用した、映画『繕い裁つ人』で、こんな台詞がありました。「おしゃれは自分のためにするもの。でも、とっておきの服はたった一人の誰かのために着るもの。」ここから先、すばらしい仕立て屋さんと、出会っていきたいと思いました。
初出:2015年11月3日