「人間が怖い」とクマに教えるよりも、人間が「クマが怖い」「鹿が怖い」「狐が怖い」と学んでいく必要があるのではないでしょうか?「こわくないよ。大丈夫。こんな習性があるからこうしたんだよ。知識があれば怖くないでしょ?」というのは、共存から遠い態度です。
共存とは「怖いから近づかない」ことです。そして「怖いから」とむやみには殺さないことです。保護のために生態を知るべく捕獲するのだは、共存の態度ではないのです。畏怖の念を持ち、きちんと距離をとり、先にクマや鹿や狐の領域に侵入した私たちが、ちゃんと後退し、身を引くことからだけ、共存は始まります。
クマだって、人間だけでなく他の動物を「こわい」からと、むやみに殺したりしません。そもそも、北海道のヒグマなどは、ベジタリアンとして生きていけるよう進化したことがわかっています。動物を食べるときには、基本的には死骸を食べています。余談ですが、羅臼のあたりでは、打ち上げられたクジラに20匹ほどのクマが群がることがあるそうで、クジラはヒグマの一番の好物だと聞きました。
「怖い」という気持ちを取り戻さないと、もっと地球はバラバラになってだめになるとは思いませんか?
初出:2018年8月21日