「自分で自分を帰れなくするな」

地方では、この10年で花木の値段もずいぶん上がり、今や東京で買う価格に迫る勢いです。

昨年後半、本当に栄養になるなぁと、ありがたく読んでいた本がありました。みなもと太郎さんの『風雲児たち』という、何十冊もある漫画本です。小学生~高校生の時に出会っていたかった本です。

主に江戸期辺りから明治期の、世界における日本を、ミクロとマクロの視点、両方から知っていける描き方が、わかりやすかったです。最新の歴史情報も盛り込まれ「学生の時に習ったのと違う!」と、驚きました。

・世界最初の全身麻酔(※ 今の麻酔とはだいぶ違う)は、江戸期、紀州の外科医華岡青洲が、45歳で成功させた。
・消防隊ができたのは、日本が世界一早い。
・江戸期300年を足しての犯罪数は、今の東京の一年分にもあたらない。
・江戸期「西洋人がヒールつきの靴を履いていたのは、かかとがないからだ」と人々は連想し、「西洋人はかかとがない」と、明治初期まで信じられていた。
・かつて、人は三から上は多すぎてわからなかった。だから数えられない代表として「水」は、全部という意味をもつ。三つと満(みつ)と水は、同じだった。
・江戸期、本の平均発行部数は、500。東海道中膝栗毛ですら、2000〜3000。貸本が主のため、読者人口は、発行部数×何十倍だった。
・麦は玄米とちがい、完全食品でなく、副食物も必要だから、人1人を養うために、多くの土地が必要になった。だから、日本は外国に比べて、人口密度が高くなった。
・江戸ですら、店構え売りはなく、日本に店が出現するのは、元禄期にはいってから。外出して喉がかわけば、百姓か寺をたずね、茶をもらうほかなかった。
・文明をはかるものさしの一つは、夜がどれだけ明るいか。高価なゴマ油しかなかった時代は、貴族武士僧侶だけが、夜を楽しんだ。江戸時代町民文化が発生した裏には、安価な菜種油の栽培と普及があった。

ロシアへ漂流した大黒屋光太夫には、「帰ろうという気持ちを捨てねえことだ。まかりまちがっても、自分で自分を帰れなくするな」なんて、すてきなことを、言わせている漫画です。ご家族でお楽しみ頂けます。

初出:: 2014年2月5日