「大丈夫、やっていける」

「大丈夫。やっていける」「自分なら、どうにかなる」とう感覚を、新人は持っているのに、ベテランが持っておらず、不思議に思ったことはありませんか?驕りとはまた違う話です。

医療や福祉の分野では、こうしたことが他分野とは違う要因で起きることがあります。「絶対の安全を確保してほしい」と利用者側も願い、提供者側もそれを目指す分野では、上述したような自分の経験や力を信じる感覚は、どうしても薄れやすいのです。パイロットや医師や看護師が、該当するでしょう。

また、お年寄りの介護や看取りに携わると、最後まで感謝どころか罵倒されたり、あんなにお世話した人が急変して亡くなるなど「やった分だけ伸びる」わかりやすい努力への報酬が見られません。

「限度や限界がある」安全と真逆に位置する、きりのなさと直面すると「これまで誠実に仕事してきたのに。自己満足だったのかな」と思いやすくなるのです。

該当する方は、職場に「お互い、こんなに役立っている」と感じられる仕組みづくりをするといいでしょう。介護の現場なら「そういえばAさんのご家族が、あなたにとても感謝していました」とちゃんと伝えあう仕組みや、朝礼や帰りのあいさつの際「いつもこういう動きをしてくれるから、とても助かっています」とフィードバックしていく仕組みを、用意しましょう。互いに感謝を胸にしまわず、表現していく仕組みを創っていくのです。

「耳で学ぼう」の「Ease / 気楽さ」と「Hope / 希望」(各50分)も「大丈夫。やっていける」「自分なら、どうにかなる」感覚が自然と戻ってくる内容です。

初出:2019年11月11日

獲得していたスキーマ

話題の『英語独習法』(今井むつみ著、岩波新書、2020年)を読み、私が英語に感じてきた不自然さが言語化されていて、大変スッキリしました。以下、70ページからの引用です。

「すると、英語を母語とする子どもも、日本語を母語とする子どもも、どちらも2歳までは動きの方向に注目し、動詞が特定方向の動き(例えば上がる、降りるなど)を指すと思っていることがわかった。しかし、3歳ごろには、英語が母語の子どもは、方向ではなく、動くさま(様態)が動詞の意味に組み込まれるというスキーマを獲得することがわかった。(中略)

このことは、方向性を動詞の中で表す日本語の移動動作の語彙化のしかたのほうが、英語の語彙化のしかたより、人類にとって自然な(デフォルトの)世界の見方に即したもので、英語はそこから逸脱した語彙化している、ということを示唆している」

自分にとって、どのスキーマを新しくインストールすべきかがクリアになり、良書でした。わたしは、英語のネィティブ・スピーカー から、しばしばわたしが使う英語を褒められてきましたが、それはわたしが獲得していたスキーマによることもわかりました。

「仮説をもち、予測をして、それが裏切られたとき、人は最もよく学ぶ」(p77)そうです。