相貌失認の状態では、物体に対して失認は示しません。物も顔も、色と形の組み合わせでできているといえますし、福笑いのように配置を変えれば全く別の顔になりますが、相貌失認の状態では、物は認識できるので、標識などは認識されます。
そして、実は顔は認識できるが、物体は認識できない状態もあります。実際に症例として、報告があります。
失認には、他にも街角にあるランドマークとなっている店がわからないといった、よく知っているはずの環境で歩き回れなくなるものもあります。この地誌失認は、相貌失認の状態で一緒に持つことが多いものの、単独でも生まれると言われます。
こうした失認の状態は、明らかに交通事故で脳を損傷した場合などは、経過を見るが故に発見されますが、物心ついたときにはそうである場合、発見が遅れてしまって、人生も晩年に入ってから、本人が気づくケースもよくあります。
様々な状態があることをみなさんにはご理解頂き、決めつけ・思い込み・隠匿が不要な、風通しのいい社会をつくっていくきっかけとして頂ければ、幸いです。