#2 Mt.Takao

初出:2008年11月3日

大切な人を守り切れなかった地獄

おはようございます。吉野実岐子です。 借りた恩が大きいと、何度も感謝を伝えたくなります。いわば、返済の必要が生じるからです。一方で、そうではないのに何度も感謝を伝えるケースも、多く見られます。感謝を伝えている方は気づかずとも、感謝を伝えられた相手が内心困惑する状態です。 この場合、感謝を伝えているようで、実際には「もっと」と相手に求めていることがあります。感謝を伝えたくなるような経験を「もっと」与えてほしいと思っていたり、相手と家族のような「もっと」近い距離に近づきたいといった具合です。決められたルールをすり抜け、相手のパーソナル・スペースに侵入する手段として、感謝を伝えるという素敵な形を選んでいるのです。こうした感謝の形の中に、リスペクトはありません。 また、自己肯定感の低さも存在します。自己肯定感が低いと、自分が優しくしたから相手が優しくしてくれているとしても「自分が優しくしたから」が、意識から抜け落ちます。だから「相手が優しくしてくれた。相手がいい人だった。本当にありがたかった。だから恩返ししなくては」といった認識になるのです。「与えなくては」となります。過剰に受け取っているという認識に基づき、受け取ることを拒む流れに入っていきます。 たくさん感謝を伝えてくる裏には、どうしようもない寂しさがあることがほとんどです。「どうしようもない寂しさをどうにかして」という訴えの方が本音に当たるでしょう。東日本大震災から10年経ち、世界ははっきりと悪くなりました。各種募金など、今月を節目とする活動も多いようです。この地球のどこかにいる、あなたの大切な人をまもりきれなかった人生は、地獄でしょう。その地獄はあの時から変わらず、あるのでしょう。ずっと息ができなかったでしょう。 多くの方の回復を願って、あなたが息をできるように、FAPも提供しています。あなたがきれいな自然の中に入って、もう消えてしまおうと思うほどの孤独から、ついに放たれることを、今日も心から願っています。あなたの苦しみがついに終わりますように。そしてあなたの思いがやっと実を結びますように。東北の一日も早い復興を願って止みません。