日別アーカイブ: 2021-02-15
混乱が消えた錯覚
おはようございます、吉野実岐子です。
気候がめちゃくちゃになってから、季節や天候に関する雑な会話が、身の回りに増えていないでしょうか?以前なら「梅がほころんできたから、もうすぐ三寒四温で」といった話ができたところを「今日はあったかいからいい」のように、疲れ果てた結果、ジャッジして、混乱が消えたかのような錯覚を生んでいる方を多く見ます。
これは、心身がかなり危険な状態にあることを表しています。もっとひどいと、冬なのに「今日はちょっと涼しいよね~」と言ったり、室内は暑くして冬でもノースリーブで過ごしたりと、完全に自分本位になっていきます。そうそう、今回は、ちょっとした林の中で録音しているので、鳥の声も楽しんでいただけるでしょう。
◆ ”今日もthumbs-up”
パソコンからなら、アプリのインストールは不要です。上記どちらも、パソコン上では、そのまま再生できます。
保護中: 【 清 ら か に 】2021/02/15 – チャンスに愛されよう/いつでもかき消せる囁き
「いつもなにかをしながら、なにかをしてしまう」
みなさん、眠る前に、神経を休めていますか?「幾つものことを、同時にできた方がいい」と、思い込んでいませんか?そう思い込んでいる人に会うと、スペインに滞在していた時を、思い出します。あの時、わたしは、ご飯を食べながら話すことが、できなくなってしまったのでした。一度にひとつのことしか、できなくなったのでした。
ホームステイどころか旅行でも、英語が母国語の国に、行ったことがありませんでした。英語だけ使う環境で、アジア人はわたし1人の中、いきなり出会った人達と、寝食を共にする生活に入ります。英語力に限りがあるわたしは、18ヶ国もの「訛」のある英語にまみれ、初日の午後三時、頭が停止しました。
目の前にあるひとつのことに集中することしか、できないのです。みんなは余裕です。英語も流暢です。1人を除き、全員、母国語で話せる相手もいました。わからない英語も、ヨーロッパ圏の言葉が母国語なら、ある程度予測できて、話せなくとも、聞いて理解できたりします。食生活や文化や風習も似ていて、大きなチキンや、甘すぎるスィーツに歓声をあげられます。
そして、わたしはご飯を食べながら、英語で話せなくなりました。その時、ブラジル人Sが、わたしの顔を覗き込みました。母国語を話す相手がいなかった、もう1人です。多様な経験を通し、優しい目を手に入れた彼は「悲しそうだね」と、言いました。
「みんなと仲良くなれる(ほぼ唯一の)時間なのに、わたしは、食べながら話せない。めいっぱいで、目の前のこと、ただひとつにしか、エネルギーを注げない。」わたしは、言いました。そしたら、彼は、こう言ったんです。
「うらやましいよ。きみは、僕の先生だ。ぼくは、いつもなにかをしながら、なにかをしてしまう。瞑想の先生に、言われているんだ。”同時にいくつものことをするのは、止めなさい。一度にひとつのことだけ、しなさい。” 妻の話をききながら仕事のことを考える。取締役会で伝えることを考えながら、ご飯を食べる。それで妻は去った。今、真剣にトレーニング中なんだ。本当に、心底、きみがうらやましい。」
その時、わたしは初めて「いくつものことを、同時にできることが、一度にひとつに集中することより、優れているわけではない」と、心底わかったんです。
それまでも、不器用だったわたしは、基本的にのんびりで、あれもこれも同時にやるのは、楽しくないけれど、「スピードは、速い方がいい」「同時に、いくつもできる方がいい」と受け取っていました。前者には、だいぶ早く気づけたものの、後者は、のんびり屋のわたしらしく、たっぷり時間をつかって、気づけました。
「一度に、目の前のことに、ひとつだけ、集中できる」、この一途さは、「今を生きる」力へと変えていけます。
初出:2012年4月27日