初出:2010年3月27日
Day: 2020-12-26
プライスレス
プライスレスは、値段がつけられない領域に対して使う表現ですが、昨今は何でもプライスに還元しようとして、目の前のものの質を貶めては、自分も堕ちていく方が多いようです。
そういう人は、相手が金額以上のことをしてくれたとき「なんだこういう対応もしてくれるんじゃん」「ラッキー」「うまいことただで/低価格でやってもらえた」と思っています。そして、それが特別な対応で例外だったと知ると、自分の見てくれを気にする気持ちから焦って、清算しようと例えば無難な物を送ったりします。
そうやって、相手の寛容さやあなたに向けてくれた情熱を踏みにじっていると、あなたの世界から「プライスレス」が消えていきます。かけがえのないものが消えていき、何でも撮ってアップし、それを賢いと思い込むYoutuberのように、すべてが切り売りになる苦しさが、つきまとう日々になります。
また、例えばどんどん本を出版したり、聞いたことは何でも答えてくれる人に対して、感謝や尊敬ではなく「あの人は小出しにしているんだ」「あの人は聞かないと答えてくれない」といったトンチンカンも甚だしい思いを抱くようになります。
そうなると、みなさん自身が感謝を手向けられたり、尊重される心地よさのない世界を生きることになり、簡単に言うと、食うか食われるかの獣の世界のような毎日が、当たり前になります。
一方、相手の寛容さを上述したようには捉えず、きちんと受け取って感謝し尊敬していける人は、どこまでも後ろ盾を得られ、またその後ろ盾によって、伸びていけます。相手がどんどん教えてくれるのは、あなたがプライスレスで、また教えてくれる内容がプライスレスだからであって、教えてくれる内容が安い情報だからではありません。
自分を堕とし、周りに適応しようとする限り、こうした扉はひらかず、扉のある箇所は、壁のように見えてしまうでしょう。