葛藤を避けようとして、相手に大事な決定をまかせてしまうとき、「~だけど」といった、語尾お化けが登場します。語尾がふわーっとしてしまうんですね。「最後まで言い切れない」「言い損ねた」と感じることが多い方も、同じです。
こうすると、無責任な状態に入るだけでなく、人権を自ら放棄する道へ入ってしまうこともあるので、注意が必要です。また、こうしたコミュニケーションは「理解してもらえない(言いきれていないことも原因のひとつ)」「苦しい(言いきれていないつまり、自分の欲求を抑えている)」「大事にされていない(主張すべきを主張していないのだから、自分でも自分を大事にしていない)」という思いを膨らませます。
そうすると、惨めに感じていったり、なんだか欲求不満だったりと、ストレスを抱えた状態が常になります。この状態から相手を見ると、相手が思いやりなく、鈍感な人にも見えてしまいます。(もちろん、実際に相手に思いやりがなく、鈍感なケースも多々あります)
自分の中では「わかってもらえないから、そろそろ怒りをわかりやすく表そう」と戦略的に振舞ったつもりなのに「急に変わった。キレた」と解釈されたりして、より状況が複雑になったりもします。葛藤を避けたかったのは、安全を確保したかったからなはずなのに、むしろより安全が遠のいてしまうのです。
こうした文脈によく横たわるのは「相手に合わせることで相手を尊重したつもり」という思い込みです。実際には、相手に依存しているから、既に甘えているから、語尾お化けが生まれていくのです。また、それまでに「自分はコミュニケーションが苦手だ」と認識するようなことを経験していたり、自分の欲求を表現したらより事態が悪化するような経験も、存在しているでしょう。
そんな風にあなたが生かされない状態は、社会的損失とも言えます。また、あなたがそうやって縮こまることは、職場にも利益はもたらしません。だから、あなた自身が、社会的損失をもたらす金食い虫のような存在ともなってしまいます。
自分では配慮しているつもりでも、相手にとっては「曖昧なことばかり言う、無責任な人」という印象を与えているかもしれませんし、むしろイライラしたり憐れみを向けられることもあるでしょう。つまり、語尾お化けは、損ばかりあなたに与えているのです。言い切って自分を守っていくこと、練習し始めませんか?