算術ではなく、仁術。

先月からみたかった「医は仁術」展(国立科学博物館、~6月15日)に、足をのばせてうれしかったので、今日はその内容をシェアします。写真撮影が許されていました!

江戸時代、漢方はすでに中国医学とは別物で、腹診など中医学にはない診断方法が含まれていたそうです。そんな中、人の体内については、西洋医学の方がくわしく、そこに近づき学ぼうとした血の滲むような努力の跡を、見せて頂きました。

IMG_4833
(薬箱)

掛け軸に描かれた人体解剖図・解剖の様子を絵に描いたもの・当時の木製入れ歯・木製のがいこつ・昔の薬箱(漢方薬)などが、展示されていました。また、貝原益軒の『養生訓』が、ところどころ引用されて、パネル化されていました。

「養生の術は、まずわが身をそこなふ物をさるべし。身をそこなふ物は、内慾と外邪なり。ないよくとは、飲食の慾、好色の慾、睡の慾、言語をほしいままにする慾と、喜・怒・憂・思・悲・恐れ・驚の七情の慾をいふ。外邪とは天の四気なり。風邪・寒・暑・湿をいう。内慾をこらえてすくなくし、外邪をおそれてふせぐ。是をもって元気をそこなわず、病なくして天年を長くたもつべし。」

そして、欲に「言語をほしいままにする慾」「喜・怒・憂・思・悲・恐れ・驚の七情の慾」が入っていました。。貝原益軒は、以下のようにも述べていました。

「万の事つとめてやまざれば、必ずしるしあり。」
(訳:あらゆることは続ければ、必ず結果が出る。)

江戸期の人は、オランダ語の理解の仕方ひとつとっても、実に忍を守ってきた方たちです。ひとつも言葉を知らない状態で、それでも辞書まで編纂していったのですから、すごいことです。そして、その時代、今のようにすべてが算術の時代とちがって、すべてが仁術であったのではないかと、感じます。