怪我と付き合いながら、シーズンを戦い抜く。

この冬のソチ五輪で、41歳で銀メダルをとった葛西選手のことを、みなさん覚えていらっしゃるでしょうか?実は、40歳を過ぎて、ジャンパーとして活躍するのは、世界でただ一人彼だけです。

だからこそ、勝ち続ける選手・フォームがきれいな選手といった視点とは、別の視点から、他の選手からも深い尊敬のまなざしでみられていました。ジャンパー仲間からも「よくその年で飛ぶな。次のオリンピックに出るだろ?一緒に出よう」と声をかけられている姿には、泣きました。

葛西選手が競技生活を続けていることは、ジャンパーのみなさんにとって、輝く希望でしょう。今は「レジェンド」というラベルを貼られて、彼の名前が知られていますが、16歳からの25年間の競技生活の中で、周りの人は「天才」「悲運のエース」「孤高のジャンパー」など、たくさんのラベルをつけて、持ち上げたり、持ち下げたり(?)してきました。

そんな中、監督という役割を得た頃から、競技にのめりこみすぎていた、パワーに頼っていた自分に気づき、自分を客観視しながらバランスを身につけるよう、シフトされたそうです。そして「怪我と付き合いながら、シーズンを戦い抜く」という心持に、変わったそうです。

みなさんが今、ずっと変えたいのに変えられないでいること・再度壁にぶち当たっていること、いろいろあると思います。そんな時、それを「怪我」のように、捉えてみるのはどうでしょう?そこを変えようとするより、そこが変われば全部変わると思い込むより、「怪我と付き合いながら、シーズンを戦い抜く」と捉えてみると、世界はあなたの目にどう映るようになるでしょうか?

葛西選手が、両手両足を広げるモモンガスタイルへ、競技スタイルを変更されている姿にも、感動しました。指のこまかな開き具合まで、本当にこまかくこまかく調整されていました。それは「小さい」ことではなく、「大きい」ことだからです。

パワーからバランスにシフトすると、のめりこむ状態から、余裕のある状態に生まれ変わります。あなたは、今どんなステージにいるのでしょうか?「これだからダメなんだ」と思い詰めているなら、「これ」を「怪我」だと思って「怪我と付き合いながら、シーズンを戦い抜く」余裕を、身に着けていきませんか?