逃れることと引き換えに、自分の生きている価値のようなものを、永久に失ったんや。

昨日の京都は、よく吹雪きました。

大寒の今日は、ドラマ「ごちそうさん 77回 ふくが来た!」より、引用させていただきます。

『これから親になる君たちに、話しておきたいことが一つだけあります。私は昔鉱山で技師をしていました。詳しく言えば、掘削した鉱石の精錬をしていました。主に銅です。銅の精錬は、言わずと知れた国の基幹産業でした。日清日露の軍備は銅で整えたと言われるほどの。

自分の働きが国を豊かにしとる、わたしは、素直にそう思うてました。銅の精錬には、鉱毒というものがつきもので、当然その認識はありましたが、日本が列強に加われるのであれば、とやかく言うこともないと、豊かになるん言うのは、そういうことやと思うてましたから。

そやけど、鉱毒の被害は思たよりも、深刻なものや言うことが、わたしの勤める鉱山でもあからさまになってきたのです。近くの川には、魚が浮かぶようになり、作物は実らんようになって、山はまるはげで、土砂崩れも起きるようになりました。

もちろん、人間だけが無事なわけはなく、大人になる前にいのちを落とす子供が増えていきました。やがて、周辺の村から抗議の声が大きくなり始めた頃、半ば口封じのために、立ち退き要請や土地の買い上げなどを任されることになりました。自分たちの引き起こした被害をつきつけられる日々に、神経が擦り切れそうになったその頃、君のお母さんが亡くなったのです。

もう分かったでしょう。わたしは、家族のためにと言いながら、渡りに船と山から逃げだしたんです。そうして因果なもんで、ついには逃げ込んだ家族からさえも、逃げました。けど、どれだけ逃げても、逃げ切ることはできませんでした。

そしてある日、つと気づきました。わたしはこんなんから逃れることと引き換えに、自分の生きている価値のようなものを、永久に失ったんやと。

(中略)

けど、あやまちをおかした後に、どう生きるかを選ぶことはできるんです。もし、あやまちと戦い続ける姿を見せられていたならば、君にそのことを伝えられたのではないかと、思います。ただただ、逃げ続けるわたしの背中は、君に過剰な責任感と、間違うことへの恐怖心を与えてしまった気がします。

(中略)

どうか、わたしのような親にならないように。どうか、あなたたちは、生まれてくる子供に、輝く未来と、豊かな誇りを与える人であって下さい。

わたしの方では、みなさまが逃げることを止めて、自分の生きている価値のようなものを、取り戻すために、こちらを用意しております。さらに、みなさんが、生まれてくる子供に、輝く未来と豊かな誇りを与える人であるために、こちらも用意しております。

ご自身のいのちをくすませたままにするのか、ここから、輝きを取り戻していくのか、あなたがここから、どう生きるかを選んでいく上で、どうぞご活用ください。