有名な近江商人ですが、豪商のおうちほど、家訓、家憲・家法・家則といったものが遺され、どの家にも共通して書かれているのが、以下の言葉だそうです。
・勤勉(仕事や勉強にはげむ)
・倹約(むだを省き、費用をきりつめる)
・正直(ごまかしがない)
・堅実(しっかりしていてあぶなげがない)
中村治兵衛家の家訓には、「金を借りて商売を拡げるな」があったそうです。銀行さんの言うことを、鵜呑みにしなくていいのです。
有名な「売り手よし・買い手よし・世間によし・三方よし」は、中村治兵衛家の二代目にあたる宗岸が、最初に説いたと言われているそうです。1754年、70歳の宗岸が、15歳の後継ぎである宗次郎にあてて、書いた遺言書「宗次郎幼主書置」には、このように書かれています。
たとえ他国へ商売に出かけても、自分の持ち下がった商品が、この国のすべての人々皆に気持ちよくよく着られるようにと、自分の利益ばかりを思わず、皆(お客様)が良いようにと思い、高利を望まず、何事も天道の恵み次第と自然なりゆきにまかせて、ただひたすらにその行く先の人を大切に思わなければならない。そうすれば、心安らかで、健康に暮らすことができる。常々、仏様の信心の行い、他国へ入る時には、以上のような心がけが一番大切なことである。
近江商人でゆうめいな、五個所(東近江市)は、のどかでうつくしいところで、見学できる商家も残っています。重要伝統的建築物保存地区にも、指定されています。お近くにお越しの方は、ぜひ、予定に組まれてみて下さいね。