手でつくられたものは、使うほど、体全体に調和をもたらす。

子供の頃、衣替えの時には、お茶箱から洋服を出していました。プラスティックの衣装ケースとちがって、お茶箱いいですよね。虫もつきづらいですし、お洋服も安心して休んでいるように見えます。

電話も、黒電話がいいなぁと思います。機能的にも、あれで十分だし、ごろんと丸くてかわいいのが一緒にいると、ホッとします。もりもり使っている鉄のフライパンも、茶釜たわしで洗うのがいいなと、思い始めています。

整えながら、心を込めて、手の感触を頼りに使えるものは、愛することをそのまま教えてくれるもの達だと思います。そうやって、むかしの人は、日常の中で、黙って愛を広げてきたんですね。

ちゃんと血の通った、手でつくられたものは、手がボタンを押すだけでつくられたものと違って、つかうほど、身体全体に調和をもたらしてくれるなぁと感じています。手仕事のものは、使うだけで身体がひらくようになっています。整えながらつかう中で、こちらが整っていきます。

そうやって、むかしの人は、日々いのちをまもってきたんですね。そうした人たちから、わたしたちは、いのちを授かってきたのです。